食の安全性とクジラ
座礁クジラの利用に関するパブリックコメントで、クジラを流通させるにあたってどこが安全性を管理するか、その地域の保健所なり公的な機関がかかわらないと、以前北海道であったような集団食中毒の恐れもあるし、沿岸のクジラには化学物質も貯留しているのではないか、という意見を出した。
それに対して、水産庁担当者は、安全性を確認するのは流通業者だと答えた。理由としては、もし万が一のことがあったら、自分たちの責任になるから、ちゃんとするだろうというようなことだったと記憶している。
で、昨日、知人が教えてくれたニュースを見て、懸念していたことが起こったことを知った。
以下貼り付け_________________________________
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http://www2.knb.ne.jp/news/20080125_14425.htm
2008 年 01 月 25 日 21:15 現在
クジラ肉の生食に注意を
氷見市内のホテルと民宿で起きた集団食中毒で、県厚生部は食事で出された
クジラの刺身から病原性大腸菌が検出されたと発表し、現在、流通している氷見
産のクジラ肉を食べる際には生で食べることを避けるなど、注意するよう呼びか
けています。
今月19日、氷見市内のホテルと旅館でそれぞれ刺身などを食べた男女合わせ
て45人が、下痢やおう吐などの食中毒の症状を訴えました。
県厚生部が原因を調べていたところ、食事で出されたクジラの刺身と患者から
病原性大腸菌が25日、検出されました。
このクジラは患者が食事をした日に氷見漁港に水揚げされたもので、肉の一部
が汚染されていた可能性が高いと見られています。
このため、県厚生部では現在、流通している氷見産のクジラ肉を食べる際には
生で食べることを避ける、十分に加熱する、など注意するよう呼びかけるととも
に高岡厚生センター氷見支所で26日以降、健康相談を受け付けることにしました。
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混獲クジラの商業流通は、年間100頭を超える。鯨類研究所は、そのサンプルをもらい、1検体10万円でDNAをチェックし、流通を許可している。しかし、販売前の汚染調査については、義務化されていない。
混獲クジラだけではない。沿岸の業者委託の調査捕鯨でも、年間120頭のミンククジラが水揚げされ、生肉として流通している。その工程における細菌や化学物質の汚染調査が行われているフシはない。
今回のように、明らかな細菌の汚染であって、原因が突き止めらる場合ばかりではない。水銀やPCBs,ブルセラ菌といったものはすぐにその結果がでるというわけではない(よほど高濃度であれば別だが)。
今回も、「氷見産のクジラの生肉」だけ注意して、ほかの場所での同じ条件での混獲肉などに注意が向けられないのはなぜなのだろうか?
使用禁止農薬の使用や賞味期限などではかなり厳しく対応するのに、なぜクジラ肉に関しては神経を使わないのかなり不自然な感じもする。
一部のすき者だけが食べるというのなら、もしかしたらそれは自己責任の範疇なのかもしれない。
しかし、このところ、鯨研などは学校給食へのクジラ肉の導入を非常に熱心にやっている。最近も鯨研の勧めで横浜市の87の小学校でクジラ肉給食が行われたという記事がでていた。
クジラを食べる文化の育成という点では、仕上げにクジラ肉をみんなで食べる鯨研が実施しているクジラ博士の出張授業でも同様である。
大型野生動物の肉を食べるようにと子供たちに学校教育を使って勧めるのも異常だと思うが、以降、子供たちの食の選択肢の一つとしてクジラ肉が入れられることを意図した計画だと思うので、安全性という点からも、こうした安易な導入はやめていただきたいと思う。
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