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2007年7月14日 (土)

今度は肉の輸出だって?

「太地町の民間企業、中国にゴンドウクジラ肉を輸出?」

 7月14日の美熊野政経塾ブログに恐ろしい書き込みを発見。太地町の民間企業が3月にマゴン
ドウ(コビレゴンドウ南方型)の肉を中国に輸出しようとしたというのだ。

http://park.geocities.yahoo.co.jp/gl/mikumanoseikeijuku

 実は、この間、調査捕鯨肉の過剰供給と、ハクジラ肉の化学物質汚染が重なっ
て、沿岸の小型鯨類肉が売れなくなっているのだ。東北・北海道で突きん棒で捕
獲されているイシイルカはいわゆる「生産調整」をしばしばしているようだし、
太地でも去年の10月に獲れすぎたゴンドウクジラの肉をいさな組合が学校給食
用に提供し、町議会で問題となっている。(前述ブログ)

町議会議員の中の良心的な議員が「自ら選ぶのならとにかく強制的に食べさせら
れる学校給食に使うのか」と懸念し、独自に水銀汚染調査も行った。調査対象と
なった市販肉からは10〜12倍ものメチル水銀の汚染が検出されたということ
だ。こうしたさなか、今年の3月に汚染の可能性のあるマゴンドウの肉を太地の
業者が中国への輸出を試みたわけだ。しかし、幸いなことに書類の不備を指摘
され、その後の申請はまだ出ていないそうだが。

小型鯨類は、一部の絶滅危惧種(I類にリスト)以外のすべてがワシントン条約
のII類に分類されている。つまり、どこか海外に売りたい場合には、輸出国の科
学当局による「種の絶滅を引き起こす懸念はありません」というお墨付きが必要
なのだ。もっとも、日本では鯨類を担当する科学当局は水産庁なので、まったく
形だけという情けない現状があるのだが。

大体、日本政府の認識は、ワシントン条約のI類は学術目的という形をとれば輸
出入が可。II類は商業取引が可能というまったくワシントン条約が何なのかを忖
度していないものだ。

今年は国連の国際イルカ年であると聞いている。これは、世界の海域の小型鯨類
が混獲や海洋汚染、船との衝突や漁業によって、その生息状況に懸念があるということの
表明であると考える。
世界の小型鯨類が何らかの規制を必要としているという国際認識の中で、世界中
の批判を受け流してイルカ類を捕獲し続けている日本の海域だけ「資源」が健全
なわけがないではないか。

それにしても、これまで生体(バンドウイルカ、オキゴンドウ)の輸出は確かに
しばしば行われ、その点に関して国際的に批判されてきたが、肉の輸出というの
は例がないのだ。このことが引き金となり、売れないイルカ類の捕獲を自粛する
選択肢を忘れ、海外にうっぱらうという方向には、日本沿岸の生物多様性保全の観点
からも、また有害食品の輸出という健康被害の問題からも決して行わせるわけに
はいかないことである。

 地方分権となって、力のある地方はそれなりに元気にやっているが、多くの
の地方は青息吐息のなか、それぞれどのようにして財政破綻をせず生き残れるかとい
う知恵を絞らざるを得ない現状だ。そんな中で、太地の政策はあまりにも鯨類と
いう先の分からない自然資源に頼りすぎに見える。特に、現町長の政策は、町民の
一部である捕鯨関係の人たちを中心としての捕鯨推進に偏ってしまっ
ている。たとえば、この間も昨年と今年のIWC参加費で800万円以上を消費し、鯨
体処理場として3億以上もの予算を計上していると云う(シャチのターちゃんより)。
人口3500人(捕鯨関係者は30人、クジラ関係全体で200人前後らしい)、年間
総予算が30億ほどの町で、である。町民のなかに強く反対の意見を述べる人が
いるのは至極当然のことと思われる。

 確かに、大都市と呼ばれるところから隔絶され、交通手段も限られた地域が生
き残るのはたやすいことではないのはわかる。しかし、ここまでして不名誉な名
前ばかり世界にいきわたり、政府の捕鯨政策では裏切られ続け、問題解決の糸口
さえ見えない状態で、出たとこ勝負の輸出や希少種の捕獲に頼るということは町
の将来を考える上でもマイナスとしか映らないのである。

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