« 2006年12月 | トップページ | 2007年2月 »

2007年1月26日 (金)

最近の話題

今日、水産庁がIWC「正常化」委員会開催を記者発表した。2月13日から16日にかけて、東京の三田共用会議所で行われる。「透明性を確保するために」(水産庁)傍聴が許可されるが、スペースの関係で毎朝抽選かもしれないのだそうだ。「透明性を確保」すると言うなら、何で傍聴者もきちんと参加できるように前もって準備しないのだろうか?遠くからやってきて、「はい、はずれです」とかいわれたら悲しいよね。記者発表内容は水産庁のHPを見てね。

調査捕鯨に対して昨年11月に出した公開質問状の答えをもらったが、公開するなら一語一句間違いなく載せろって言うので、PDFにして近々に載せます。はい、いいえという簡単な答えでよかったのに、なんだか想像力豊かで、聞いてもいないことについていろいろと書いてあるんだよねえ。で、肝心のはい、いいえについてはないのです。

1昨日の琉球新報によると、低周波ソナーを搭載しているアメリカの潜水艦「コリー・ショウエスト」が24日に那覇軍港に寄港したらしい。アメリカでは、低周波ソナーがクジラやウミガメなどに少なからぬ影響があると訴訟が起こされ、沿岸で、クジラなどの生息海域では使わないことになっていたはず。沖縄の海には絶滅に瀕するジュゴンが生息しているし、ザトウクジラも回遊してくる。バハマやカナリー諸島でのクジラの座礁が絶対的にソナーのせいだと確認されているわけではないが、限りなく灰色であることを考えると、やはり、そんな船が来るのは問題だと思う。かつて、アメリカのベン・ホワイトという活動家はハワイでソナー演習が開始されたとき、その海域に飛び込んで使用を阻止した。4年前に日本に配備されるようだという話があり、彼はぜひ一緒に海に飛び込もうと誘ってくださったのだが、1昨年、癌のために早すぎる一生を終えてしまった。

世界の魚河岸を誇る築地市場の移転先が工場跡地で、かなりの土壌汚染があるということだ。表土を取り除いて海抜2メートル以上の土壌を規準以下にしても、汚染された地下水の上昇で表土の再汚染が起きる可能性があるのだとか。東京とは安全といっているが、卸売業者さんたちの作る「市場を考える会」が日本消費者連盟などと汚染地の市場建設反対の署名活動を行っている。

2007年1月23日 (火)

またコククジラが・・・

1昨年4月、東京湾を訪れたコククジラについて記憶されている方もあるだろう。数千人の人を呼び寄せた彼女(メスだった)は、残念ながら定置網にからまって溺れ死んでしまった。その3ヵ月後、今度は宮城県沖で、おやこのコククジラ(母と娘)がやはり定置網にかかって死んだ。そして今度はこの19日に岩手県釜石で・・・。詳細は発表されていないが、一部では、メスの子どもだったというように伝えられている。

コククジラは、ザトウクジラのように見栄えの良いクジラではない。英名のgrey whaleにあるように、全身ダークグレイで、そこら中にフジツボやらウオジラミやらがくっついている。お世辞にも愛らしい姿とはいえないと思うが、捕鯨時代に母クジラが子クジラを守って船に挑んだために付けられたという「デビルフィッシュ」という名前も不当であろう。

日本の業界筋は「クジラがわれわれの魚を食べてしまう」というようなことをしきりに言うが、このクジラが食べるのは浅瀬の砂の中にいるゴカイの仲間で、身体を倒すようにして海底の砂をさらい、中にいる底生生物をヒゲで漉しとって食べる。大体が右利きだが、中には左利きで左側を倒して砂をすくうやつのいるらしい。岸近くで生活するために、初期のころの捕鯨でかなり捕られ、大西洋の個体群は絶滅したといわれる。

アメリカ沿岸の個体群も乱獲のために絶滅に瀕したが、アメリカの手厚い保護で回復して、絶滅危惧種リストからめでたく脱却できた。

もうひとつの個体群は、サハリンから南中国を移動するニシコククジラと呼ばれる個体群で、1970年代初期には、日本、日本の占領下時代を含む韓国、ロシアなどが乱獲したために絶滅したと考えられていた。その後、小さな個体群が生き残っていることが分かり、旧ソ連の崩壊後に本格的な調査がロシアとアメリカの協力で始まって、今は個体識別がすんで個体数わずか100頭あまり、繁殖可能なメスは23頭と報告されている。

専門家は、毎年1頭ずつメスが死ねば、早晩この個体群は絶滅すると報告している。最近、この個体群の一番の脅威としてサハリンにおける石油・ガス開発があげられ、開発会社はクジラへの影響軽減を要求されていた。しかし、それより前に、日本沿岸で立て続けに不幸な事故が起きてしまったのだ。

現在、ニシコククジラは水産庁管轄で漁業法によって、捕獲を禁止されているだけである。水産庁は、いずれは水産資源保護法にリストする予定だそうだが、コククジラの保護には定置網をどのように効果的に規制できるかということが重要である。同法では漁法の制限ができることになっているが、定置網の規制まで行くかどうかが問われる。

水産庁は、資源的に有効な利用ができない種についてはとても冷たいので、IUCNが2年前に国家緊急行動計画を決議しても、IWCで毎年のように周辺国の保護への取組が勧告されても緊急の保護策をとりえなかった。また、環境省はこれまで海生動物には手をつけることができなかった経緯のために、データや専門家などがいないため、取組に及び腰である。

水産庁や環境省だけではない。日本沿岸で3年で4頭のメスをむざむざと殺した責任を私たちのすべてがいま問われているのだ。

2007年1月10日 (水)

イルカ飼育について

最近、また、イルカの不適切な飼育に関する情報が寄せられた。これまでもたびたび私たちが言ってきていることだが、国内水族館におけるイルカ飼育に関しては最初の導入方法(イルカ猟にしても’混獲’と称するものにしても)からして問題であるのは論外として、飼育状況がひどい場合が多い。環境省の規準が抽象的であいまいなのをよいことに、客観的に見て展示されている動物(イルカ)にとって最低限の運動を保障されてもいないというところでも、規準に反するというような判断は下されないようだ。このままでは、せっかくの規準作りや、登録する上でのチェックもあってないものと同じだ。多くの場合、もといた群れそのものが捕獲によって消失し、行き場のなくなったイルカたちを海に帰すことも難しい現状から、せめていくらか飼育環境が改善されることを祈らざるを得ない。もっとも、問題に気づいた人たちがそうした施設に近寄らないことで経営が成り立たなくなったイギリスなどのように、野生イルカの飼育そのものがいずれ消滅することが最善であることは言うまでもない。

今回の場合、もともと施設そのものが老朽化しているのに加え、飼育される水槽の水深が非常に浅いこと、一般観客が簡単に触れるような環境であること、浄化機能にも問題があることなどが指摘されている。ここでいろいろ言う代わりに、実際の写真と解説を情報を寄せてくれたサイトでご覧いただこう。

http://124.40.10.123/aburatsubo/

« 2006年12月 | トップページ | 2007年2月 »