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2006年12月20日 (水)

クジラが私たちのお魚をたべちゃう?

 もうだいぶ前になるが、動物医薬品会社の獣医さん向けのPR誌を編集していたときのこと、ある出版社から犬の飼い方入門書が送られてきた。著者は、某一流大学の農学部教授だったが、内容はありきたりのもので、特に紹介したいと思うような点はなかった。その中で、唯一記憶に残っていることがある。犬の行動を説明している中で、戸外での排泄の際に、肢で引っかいて排泄物を隠すという記述があったからである。少しでも犬を知っている人ならば、あの行為が隠すためではなく、逆に自分の存在を目立たせるためのものだということははっきりとわかるはずである。犬は足の裏の汗腺から出される分泌物で、引っかくと同時ににおい付けをしているのだ。著者も著者なら、出版社もいい加減なもんだと思ったのを覚えている。その教授はその後も犬の本を出されているようので、もしかしたらそのことについては訂正しているのかもしれないが。

 昨日、ある人から日曜に行われた小笠原の希少種を守るというシンポジウムで、その教授が総括講演を行い、そこでクジラが増えてイワシを食べつくしてしまうというような話をしたのを聞いたと教えられた。総括だということは、その教授はクジラが島嶼部におけるネコやマングースと同じような害獣と認識しているのだろうか?

 イワシについては、水揚げが減少して問題になっているのはマイワシだと思うが、水産庁のHPに「マイワシの謎」というタイトルでその生息数の変化について書いたものがある。

http://abchan.job.affrc.go.jp/pr/Maiwashi0302/Index-sar.htm

ここでは、決してクジラが原因だなどといってはいない。

クジラ害獣説に関しては、すでに2001年の下関IWC会議のときに、日本の科学委員会の委員である研究者が自分のHP上で批判しているし、どこでも評判がひどく悪いため、日本代表もIWCではすでにそのことを口にしない。もっぱら生態系管理とか多種間管理とかいっているのである。今回、セントキッツでは、サンマ漁の横で大口を開けているミンクの映像を流して更なる顰蹙を買っていたが、サンマは最近でも取れすぎる場合があって値下がりが激しいのは食卓を預かっている人ならご存知のとおり。

しかし、こうした自然保護系のシンポジウムでまことしやかに話されると、頭から信じてしまう純真な人たちが出てくるかもしれない。現にIKAに来るメールの中には水産系の学生さんなどから、「クジラを間引かないと漁業に支障をきたす」というような意見が寄せられている。日本の環境教育・自然教育の貧困さがこんなところに如実に現れているのだろう。

ちなみに、IKANでも、クジラと魚の競合についてはHPアップしてある。

http://homepage1.nifty.com/IKAN/news/kstnwkn2006jul03.pdf

ほかに、もう少し専門的なところでは、昨年コスモス平和賞を受賞されたカナダの

水産学者、ダニエル・ポーリー博士の『Food for thought』がある。

http://www.hsus.org/web-files/PDF/FoodForThought_v2.pdf

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