イルカ2021年度捕獲枠

イルカの捕獲枠が水産庁のhpに公開された。

https://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/attach/pdf/index-27.pdf

昨年8月4日に公開され、10月8日に更新された捕獲枠の総数(10926)に比べて11007頭と79頭の増加だが、カズハゴンドウが昨年10月の枠に比べ、263頭から363頭と100頭の増加、一方で10月の更新の元となったオキゴンドウ の捕獲枠は、91頭から再び70頭にもどっているので、足し引きすると79頭分の増加となる。

ちなみに、オキゴンドウ は小型沿岸捕鯨捕獲枠も20頭分ある。邪推すれば、2019年10月8日の捕獲枠更新は、小型の20頭分を、年度内に捕獲するつもりのない小型捕鯨業者がイルカ漁業者に譲ったのではないか。(更新日の翌日の10月9日、小型捕鯨業者全体にちょうど20頭分の増枠がある。)

オキゴンドウ は、2007年の捕獲枠の見直しの時、「沖合に別の計群が存在する」という根拠で、従来の50頭を70頭に増やしたものだ。ところが、実際のオキゴンドウ の捕獲数を見ると、この設定が妥当とは思えない。

ちなみに2019年の実績は和歌山ゼロで、沖縄で1頭突きん棒で捕獲されているだけだ。

https://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/attach/pdf/research-29.pdf

水産庁のhpでオキゴンドウ の捕獲数を遡って見てみよう。

2018年和歌山ゼロ、沖縄2、2017,2016年はいずれもゼロ。2015年には沖縄で1頭、2014年は和歌山県太地の小型沿岸捕鯨で3頭の捕獲がある。2014年は和歌山県で1頭、2012年はゼロ。捕獲数が2桁に届く方が少なく、2000年までには2001、(和歌山18、沖縄8)、2003年(和歌山12、沖縄4)、2006年和歌山30頭(生け捕り24頭)沖縄5頭、そして2011年の和歌山17頭(うち生け捕り10頭)、沖縄3頭というのが、公開されているプログレスレポートではすべてだ。

100頭増枠されたカズハゴンドウは、主にコビレゴンドウの代替として食肉用にされているが、枠が新設された2017年に156頭、2018年110頭、2019年203頭。「もし万が一、大きな群れが来て枠が消化されていたら」という懸念での’予防的’な措置なのかもしれないが、国民に対しての管理責任という本来的な立場は相変わらず見られないのは残念だ。

2021年4月 1日 (木)

2021年度捕鯨予算

 すでにご存知のように、先日議会を通過した2012年度予算では、捕鯨対策費として昨年同様、51億(5072000000)円が組まれた。捕鯨対策は「水産予算概算要求の主要項目」の5番目の一番下で、主要項目と言ってもそれぞれが主要なカテゴリーからはやや外れた雑多な項目だ。それぞれの予算は以下である。

   「漁業取締体制の増強、国境監視機能等の多面的機能の発揮、捕鯨対策」

    外国漁船対策等         23,061(百万)
    水産多面的機能発揮対策事業    3,000
    離島漁業再生支援等交付金     1463
    有害生物漁業被害防止総合対策事業  500
    漁場環境改善推進事業        205
    捕鯨対策             5,072

 金額に対してはいろいろな意見があるだろうが、例えば、「水産多面的機能発揮対策事業」とか、「漁場環境改善推進事業」など、これからの漁業を考える上で重要な事業と比べ、今後の発展が望めないような小さな産業擁護のための予算としては結構な額ではないかと思いませんか。

捕鯨対策の狙いは以下である。

   <対策のポイント>
    捕鯨業の安定的な実施に向けて、非致死的調査等の確実な実施、

    持続的利用を支持する国との連携や情報発信、

    捕鯨の実証事業の実施等を支援
  

   <政策目標>
    安定的な捕鯨業の実施と国際的な資源管理の推進

(ちなみに、昨年度は  <対策のポイント>は「商業捕鯨の再開を踏まえ、捕鯨業の実証事業の実施、⾮致死的調査等の確実な実施、持続的利⽤を⽀援する国との連携や情報発信、 捕鯨の将来の姿の検討等を⽀援」だった。政策目標は変わらないが。)

 昨年度と比べると、最初に挙げられているのが’非致死的調査等の確実な実施’になっているところが興味深い。また、昨年は’捕鯨の将来の姿の検討等を支援’とあるのを、’捕鯨の実証事業等を支援’になっている。

   (実証事業=実地に適用可能な段階にある技術・システム・制度などを試験し、その有効性や経済性などを確認すること。(gooによる)

 毎度、「将来の姿の検討」ではさすがにまずかろうし、補助金もつけにくいのだろう。

    1の1と2 1.持続的利用調査等事業等
    ① 鯨類の資源評価等を行うための非致死的調査の実施を支援
    ② 寄鯨(座礁鯨等)の調査を支援します。

 南極での致死的調査は中止したが、同じ時期(11月)に、南極における非致死的調査を実施し、先月22日、調査船が帰ってきたと水産庁のHPに出ている。

https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/210322.html

また、北太平洋ではIWCに協力した非致死的調査(POWER)を、いずれも第2勇新丸によって行っている。

https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/200924.html
 

 新たに付け加わったストランディングレコードについては、元々は鯨類研究所が担っていたが、担当していた石川氏の退任により、氏の移動先の下関鯨類研究室にうつって、過去暦も含めてかなり詳細なデータが掲載されてきた。ところが石川氏が同研究室を退任すると、継続するものがなく、詳細なデータ入手が困難な状態となった。今回、予算がついたところで、さらに詳細なデータが掲載されると良いなと思っているのだが、果たしてどうでしょう(現在、水産庁捕鯨の部屋ではヒゲクジラについてはデータを公表している)

 次の関係国への働きかけは3項目で2番目は別として、他の二つは再び鯨研マターと思われる。

○ 国内外研究機関との連携強化
○ 持続的利用支持国等の結束強化
○ 調査結果等の情報発信等

 IWC科学委員会へのデータ提出を公言しており、またNAMMCOにもオブザーバーとして参加するなど、本来のUNCLOSの求めにそうものかどうかは別として、’連携’は行われている。またCCAMLRにおいて、水産庁漁業調査船が音響手法を使ってオキアミの推定数を測定しているということだ。2の2の音響調査等はこれを指しているのかもしれない。

http://nrife.fra.affrc.go.jp/seika/R1/2019-09.pdf


2の2 2.鯨類資源持続的利用支事業
② 音響調査等の新技術開発を支援します。

 事業者への補助金については、今後3年程度で廃止の方向にあると聞くが、今後は’鯨類の資源評価等を行うための非致死的調査(ここはわざわざ太字で印字されている)の実施を支援’など、鯨研をメインとして捕鯨対策費は残されるのではないだろうか。

 一向に終息を見せないコロナのため、IWC科学委員会はバーチャルで開催されるようだが、本会議は今のところ9月にスロベニアで開催される予定である。日本が実施している調査結果を手土産にオブザーバー参加をする予定でいるそうだが、果たしてIWCとしてどのように対応するか、今後の展開を見守りたい。

2021年1月 6日 (水)

混獲されたクジラの取り扱いについて

昨年クリスマスに、「太地の定置網にミンクが」という情報が入ってきた。それからすでに12日、まだ若いと思われるミンククジラはまだ定置網の中にいて、たくさんの人たちに気を揉ませている。太地の湾では、ブリ漁のための定置網が設置されていて、たまたま年末のかき入れどきにクジラに入られ、漁師たちは困っていると水産庁は言う。逃がせればいいが、網を壊せば数千万円もの損害が見込まれ、なすすべないのだろうと担当者は言う。

日本では、魚の種類を選ばないで定置網という網を貼り、複数種の魚を捕獲する漁法があり、ほぼ沿岸一帯に張り巡らされているともいわれる。

クジラは定置網で捕獲する対象ではもちろんないが、時に魚を追いかけてだろうか、定置網に入り込んで逃げられなくなるクジラたちがいる。

政府は2004年、鯨類の座礁に関するマニュアルを作成し、それが何回か改訂されているが、生きているクジラは逃す方針に変わりはない。しかし、定置網に入ったクジラについては原則逃す方針であるものの、2001年からは混獲クジラの販売が可能となった。つまり、定置網の損傷や人身の危険を考慮し、行政の補償問題等の回避策として漁業者に生殺与奪の権限を与えることになってしまったのだ。

本来の漁業に専心したい漁業者にとってクジラが入り込むことは迷惑この上ない話だが、一方で、補殺個体の遺伝子を登録しさえすれば販売も可能であるため、一部ではミンク肉の供給源として活用されるようになった。数年前、ある集まりで会った西日本の行政経験者は、商業捕鯨するよりも、混獲クジラによる鯨肉供給の方がいいと思うと言っていた。

今回、改めて、混獲されたクジラたちが(条件は全く同じではないだろうが) 多かれ少なかれ網に囚われて逃げるに逃げられず、もがき苦しむのだという事実を改めて突きつけられ、混獲問題を何とかしなければならないのではないか、と考えるようになった。

おりしも2年前に商業捕鯨が開始され、100頭以上も混獲されているミンククジラは捕鯨業者にとっては競合相手ともなる。したがって、今、混獲回避の手立てを考えるにはいい時期ではないかと思われ、太地の件も含め、水産庁にいくつかの提案を行っている。1件数千万円もの補償金がそうそう可能とも思えないが、管理責任が当然あると思える水産庁がこの問題をどう捉え、どう出るか見ていきたいと思っている。コククジラに関しては、ガイドラインを作ってせいこうしているというれいもあるし。

ちなみに私からの提案は以下である。

一つは、定置網に入ってしまったことを一種の災害と認定し、補償を行うこと。ただし、金額的に半端ではないので、一定の政府補償を前提に、民間が協力してクラウドファンディングなどの仕組みで網の破損が漁業者だけの負担とならないようにできないか。

もう一つは、クジラが定置網に入ってこない仕組みを考えることで、これは素人の考えではあるが、クジラが入りにくい形を考える、あるいは、船舶での衝突回避を参考に、音響で追い払うと言うアイデアである。

太地の漁業者は解放する方向を模索しているようだと言う情報もあるが、今後は漁業者だけの責任ではなく、マニュアルを作った行政もぜひ、管理責任を強く感じていってほしい。

 

2020年10月 1日 (木)

伊豆、富戸でイルカ猟開始?

9月29日静岡新聞によると、いとう漁協・富戸支部が、今日、10月1日からイルカ猟を開始予定だということだ。

 

「イルカ漁、今季も実施へ 早期の探索で捕獲目指す いとう漁協

(2020/9/29 11:47)

 「伝統漁法『イルカ追い込み漁』を静岡県内で唯一継承するいとう漁協(伊東市)は28日、再開を表明した昨季に引き続き、今季も漁を実施する意向を明らかにした。漁期は10月1日~来年3月31日。水族館などで展示・飼育するための「生体捕獲」に限定した上で2004年以来の捕獲を目指す。」

9月初め頃は、まだ準備もしていない様子ではあったが、一応、今年度の事業としては挙げられているようだ。

水産庁による捕獲枠は、水族館に販売する主目的のバンドウイルカが24頭、カマイルカが26頭、オキゴンドウが7頭だが、このところ、バンドウイルカの移動時期が海流のためか変化しているようなので、昨年と同じように捕獲は難しいのではないかと期待している。

世界の潮流は、鯨類飼育反対の動きになって久しい。実際、2015年に伊豆半島のジオパーク認定に際して、イルカの追込みを行わないことが理由の一つにされていた。しかし、日本の水族館はまだイルカによる集客にこだわっており、そのために追込みによる捕獲個体の飼育を禁止する日本動物園水族館協会から脱退するところさえある始末。

今更だが、伊豆地方で乱獲で廃業を余儀なくされた漁協が複数あることからイルカの追込みのやり方はもちろん、狭い人工的な施設(中には海水浴場の一部を仕切るところもあるようだが)での飼育は野生動物の福祉の観点から大きな問題がある。イルカの好きな子供たちが、この事実を知らされないで、水族館などで見て喜ぶことが教育的であるはずがない。

たまたま、昨日、フランスで、イルカを含動物の娯楽目的での飼育を段階的に禁止するという表明がニュースになっており、これからは新たに鯨類を購入できなくなる模様である。

https://www.afpbb.com/articles/-/3307184

また、中国からアイスランドに移動して、サンクチュアリに入れられ、最終的に医療用のプールから広い湾内に放されたた2頭のベルーガのニュースも数日前にあったと記憶する。

https://belugasanctuary.sealifetrust.org/en/

イルカ猟師の人たちも、水族館も、需要があるからイルカを捕まえようとする。辞めさせる一番の力は、イルカのショーも飼育も拒否する市民の行動だと思う。

 

2020年9月16日 (水)

地球規模生物多様性概況第5版

昨日、国連の生物多様性条約事務局による「地球規模生物多様性外鏡」の第5版が発表された。

国内報道はどうかあん?と思っていたが、珍しく今朝、毎日新聞に記事が出ていた。

https://mainichi.jp/articles/20200916/ddm/012/040/080000c

GBO5は、2010年に名古屋で開催された第10回会議(COP10)で採択された20の生物多様性保全の目標の世界における達成度を測る最終報告書と言えるもので、発表前から達成が厳しいことは想定されていたが、60に細分された20の項目のうち、全て達成されたというものはなく、国家戦略策定が進んだとか、外来種の駆除とか、いくつかでは前進が見られたものの、全体としての達成度はわずか10%程度という悲しい状況のようである。

(愛知目標については:

https://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/aichi_targets/index_02.html)

海に関しては、目標6(水産資源の持続的案漁獲)、目標10(サンゴ礁等気候変動や酸性化による影響を受けやすい脆弱な生態系への悪影響の最小化)、目標11(保護地域)、目標12(絶滅危惧種)などだが、目標3の有害な補助金の廃止もまた、漁業活動の重要な課題になるだろう。

有害な補助金についてはガーディアンの記事の中にも出てくる。

xhttps://www.theguardian.com/environment/2020/sep/15/every-global-target-to-stem-destruction-of-nature-by-2020-missed-un-report-aoe?utm_campaign=conservation_none________&utm_source=facebook_environment&utm_medium=social&utm_content=3rdparty_general____linkcard_&utm_term=___&fbclid=IwAR0b4P_LoGOMzw7WN6GxDR0GLJIIAHW7MI1fFGHoHM8LH9G7zZ6mYoQhOvc

それから一応は達成されたカテゴリーに入っている海洋保護区だが、日本国内に設定された保護区は、その多くが漁協の管理海域に

依存しているところから、生物多様性保全にどれくらい貢献しているのか、厳しいチェックが必要だと思われる。

全般の解説は、これまでもIUCN日本委員会としてしっかりウォッチしてきた自然保護協会の道家さんの報告味詳しいのでご覧ください。

https://www.nacsj.or.jp/2020/09/21770/?fbclid=IwAR0_zNI2aip0kfjMZ35xoeA1_Dv4e_7lGv91G6Wc2vyGVatllDTIIyqtsIM


 

また、環境省が新たな戦略を策定中なので、より保全が進むように声をあげてください。

 

 

2020年8月31日 (月)

イルカ猟が始まる

まだまだ、残暑の激しい今日この頃だが、毎年9月の声を聞くとイルカ猟開始がまず頭に浮かぶ。

和歌山県太地でここ数日、若者たちのイルカ猟反対デモがあるようだが、一方で海保が(シーシェパードを想定して)海上での抗議行動への対処訓練の報道がある。海外から、この時期にわざわざ船で捕獲阻止に来るとはあまり考えられず、海保の訓練は、問題の解決からすれば税金の使い道を誤っているように感じる。

政府は、これまでも鯨類は水産資源だとして、捕獲、利用を推奨してきた。取る側の言い分として「伝統的な日本の食」を前面にしているが、その実、イルカ猟で潤っているのは追い込みによる生体の捕獲のみのようだから、この口実は実際に捕獲し続けているという既成事実の上に成り立っている説得力に欠けるものではある。

欧米を中心に海外で生体展示に対する風当たりが強まる中、日本での生きたイルカ捕獲はアジアや中東を中心に国際的にも重要な供給源となっており、イルカ猟師としては旨味のある業を早々簡単には捨てないだろうと思われる。水族館におけるイルカの飼育がどれほど酷いか、という情報の提供も今のところ馬の耳になんとやらのようだ。町としても、そうした生業の人がいる限りは支援せざるを得ないと町長は言っていたが、持続性に関していえば、需要の将来的な動向(肉の需要は限定的で、野生個体の展示という需要がどれほど続くのか)と同時に、イルカそのものの生息も問題だ。

それでも一応、反対の声を意識してか、イルカ捕獲についても不十分ながらかつてよりもきめ細やかな情報提供もするようになってきている。

http://kokushi.fra.go.jp/R01/R01_49_whalesS-R.pdf

ただ、延べ50〜100日の主要な種の目視調査+大型鯨類の調査に付随した調査で、それぞれ複雑な社会構造を持つハクジラ類の調査として十分と言えるのか、捕獲個体や座礁・混獲個体の調査で「系群(個体群)構造」の理解がどの程度進むのか疑問であり、そもそも、イルカの生息調査として、推定個体数がメインという方法が最善と言えるのか。

実際に、2007年に「沖合に別の群れがいた」とされて捕獲枠が拡大したオキゴンドウは、沖縄では少しばかり捕獲されてはいるものの、太地での実績は、2018年までの捕獲は、(2011年の17頭を例外として)枠70頭に対してゼロである。

もともと肉として需要の高かったコビレゴンドウ(マゴンドウ)や生体捕獲で一番人気のバンドウイルカも、枠を遙かに下回る状態で、2017年にその代替としてカズハゴンドウとシワハイルカが対象となった。

これらは、猟師たちとしては取りたい種だからこそ、取れない現状は問題だと考えるのだ。

太地での追込みの詳細に関しては海外NGOが情報を公表しているのでそれも参照してほしい。

https://www.cetabase.org/taiji/drive-results/

ちなみに今年度の捕獲枠は以下に公表されている。

https://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/attach/pdf/index-51.pdf

イルカ猟に反対するIKANではあるが、双方の埋めがたい溝を考えた時に、問題解決の方向として日本沿岸のイルカの生息実態の解明がまず最初だと思っている。上記の水産・研究教育機構が真摯に現況を公開してはいるが、その現状把握にはさらに第三者的な検証が必要だと思っているので、まず、保全の観点から環境省主導での調査が行われ、その結果に従ってつぎに資源管理を行うというやり方が良いのではないかと思う。

残念ながら、環境省は水産庁の資源として扱われる種に関与するのには積極的ではないのは、2017年に発表された海のレッドデータの歪みで明らかだろう。また、官僚の中には「資源管理に予防原則はなじまない」という発言をするところとの官庁との調整は容易だとは思われない。しかし、今後の日本沿岸の生物多様性の保全はもちろんのこと、利用する側にとっても持続的に管理されることは今後必要だはないだろうか。特に現在のような危機的な海洋環境を考えれば尚更。

少なくとも、2017年時点で行った太地の関係者との意見交換では、その点までは合意できたと考えているのだが。

2020年8月 4日 (火)

イルカの新捕獲枠

今年度のイルカ捕獲枠、8月1日に公表されました。

https://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/attach/pdf/index-51.pdf

コビレゴンドウの追い込みの捕獲数が134頭から101頭、オキゴンドウが70頭から49頭と、微妙に減らしたようです。あとは変わりなしで、突きん棒と追い込み合わせて10907頭。

 

10月8日に更新されていました。和歌山県(太地)のオキゴンドウの枠が21頭増えています。沖合の群れが見つかったという理由でオキゴンドウの捕獲枠が増やされてから、一度も捕獲実績はないのですが。

まあ、「なお、鯨種別捕獲枠は、関係道県の要望や関係道県間の調整の結果により、許容捕獲頭数の範囲内で漁期中に変更することがあります。」

と但し書きにあるので、変更もありなのですが、実際にどこの要望で何を増やしたのか、もっときちんと示すべきではないかと思います。

https://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/attach/pdf/index-55.pdf?fbclid=IwAR1QCOrJHhO_KlZ7Sqn3ppt5Q1CmIZ9H-uO2mM2SbwiB2eTJAHtIWmttAOg

2020年5月25日 (月)

沿岸の生物多様性とクジラ

5月22日は、生物多様性の日。今年は本来ならば、愛知目標の検証年だし、国連生物多様性十年の最後の年だ。十年前のCOP10では、主に東京と愛知のNGOがネットワークを組織し、会議に臨んだ。IKANは海の部会を立ち上げ、事務局のリー博士をお呼びしてシンポジウムを開催したり、日本で消費されている代表的な魚たちの現状を知らせる「お魚ガイドブック」を作って市民に訴えかけたり、また、主宰する政府を盛り立てる下働きに励んだのを懐かしく思い出す。

あれから海の保全は進んだか?と言うととても心許ない。確かに海洋生物のレッドリストはできたし、また、日本の重要海域の選定も行われた。しかし、その内実はとてもお寒いどころではないと私は思っている。海洋環境と海洋の生き物たちが私たちの、そして私たちの将来世代にとってかけがえのない、たやすく失ってしまっていいものではないと言う認識の共有が残念ながらできていない。

クジラについていえば、2018年に日本がIWCを脱退し、2019年に商業捕鯨が再開されて以降、話題となるのはどこでどの大きさの鯨が取れたか、いくらで販売されたか、と言うものばかり、産業の継続が危ぶまれる中、クジラ種や海域の拡大を求める捕鯨工船の関係者と小型業者はすでに調査捕鯨でも捕獲が難しくなっていた鮎川周辺から八戸、そして室蘭と、捕獲しやすい海域の開拓を求めているようだ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202005/CK2020052502000131.html?fbclid=IwAR14ThXXR0aZFuOKtjVivTZma2opYkY2W758iTSRer6tFa3QC-1rCm4mOIM

コロナウィルス下ではあるが、洋上ではそれほど問題ではないようで、小型もそのまま操業を継続しているし、近々捕鯨工船も鯨を求めて出かけると言う噂も聞いた。

最近、たまたま行政の方と話す機会があり、商業捕鯨の再開に際し、これまで国際世論任せであったクジラの保全はこれからは国内でどう見ていくか、私たちの責任という話になります、と訴えた。しかし、クジラの話はどこでもちょっとばかり重たい話になってしまうので、任期中に尻込みしないで立ち向かうと言う酔狂な人はなかなかいないと言う諦めもある。

生物多様性の日に、珍しくも環境大臣が国際社会にメッセージを寄せている。

https://www.youtube.com/watch?v=iuq3wZZAG4w&feature=youtu.be&fbclid=IwAR2W1-p_HTiCLkoa02rZ2TfW5E1S2K0RPGFjnMM1juXIH3OyjkYN3rzSZV0

’毎日ステーキ’の方がよく言ったと思うが、それだけに、このコロナの状況下でーそれ以前の環境行政の脆弱さと世論形成の弱さを思えばー多分、鎮まれば即経済の側からの激しい巻き返しが想定され、なんとか踏みとどまれるところがあれば、と祈るような気持ちだ。

2020年2月27日 (木)

海の生物の混獲について

知り合いの記者の方から、EUの環境・漁業担当相によるイルカ類を含む海の生物の混獲を回避するため、声明が出たことを教えていただいた。

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/STATEMENT_20_328?fbclid=IwAR1vqliA41qlgAZm9hwygI5dP1g1rTr0v5ZPI-xf9K4rGL84yjx0GPBHCEc

意図的な捕獲ではない、漁網などによる混獲によって死亡するたくさんの生物についての懸念は今に始まったことではなくて、
IWCにおいても、繰り返し混獲問題は保全委員会の活動をはじめ議題に上がっており、精力的なワークショップも開催されてきた。

確か2004年にイタリアのソレントで開催された IWCの際、ヨーロッパを中心としたグリーンピースの人たちが、ネズミイルカの死骸を会場近くに持ち込み、物議を醸したことが記憶にある。EUをあげて対処しようという試みが始まったのは、今更という向きもあるかもしれないが、ないよりも10倍もいい。

翻って日本はどうか。日本の沿岸はいわゆる定置網で埋め尽くされているといっても過言ではない。特定の魚種を狙うのではなく、網に入る様々な魚を漁獲する網には、魚だけではなくイルカやクジラも多く入っている。

この日本沿岸の混獲に関する情報は、水産庁が、ヒゲクジラのみ公表している。例えば、2018年度では、ミンククジラ86頭、ザトウクジラ3頭、セミクジラ1頭が混獲され、3頭を除き、鯨肉として販売あるいは地元に配布されていることがわかる。都道府県での混獲はわかるものの、実際いつ、どこでどのクジラが混獲されかが分からない。

https://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/w_document/index.html

一方でかつて日本鯨類研究所でストランディングレコードを更新してきた石川創氏が下関の鯨類研究室に移られてからは、昔のものも含め上がってくる情報について、年月日、場所、個体の詳細情報とその後の処理など丹念な報告を毎年更新されてきている。

http://whalelab.org/record2017.htm

残念ながら、石川氏は今年定年だということで、ストランディングデータは彼の退職とともになくなってしまう可能性が強く残念なことである。

定置網という漁法は、入ってきた魚は漁業者のものだ。クジラに関しては、定置網などへの損害を穴埋めするという名目で、DNAの登録をすれば販売が可能になった。地域によっては、かなり定期的な売り上げ品目になっているところもあるかもしれない。

鯨類混獲については、日本はまた別の法規が使われているため、混獲回避措置は当分考えられそうもない。

 

2020年2月11日 (火)

イワシクジラ /CITESに関する溝(2)


<参考*12月2日IKAN返信>
    今回につきましては、私どもと、高屋さまの立場が隔たっていることから、解釈も異なっているのだと思います。
    また、そのことが「誤誘導」であるという風には考えることはできませんでした。もし異なる意見を反映させるとすれば
   「水産庁さんのご意見は以下でしたが、」という断り書きを入れたものを再送するのも1つの解決法とは思いますが、何分にも、
   弱小NGO の分際、再度の送料負担は難しい状態ではあることをご理解ください。
ただ、苦情をそちらに送られたお店をお教え
   いただければ、そのお店にはご心配をおかけしたお詫びとともにこちらの立場のご説明をお送りしようと思いますので
   お手数ですが、お教えくださいませ。 
  貴庁hpには、イワシクジラの流通に関して
   「同勧告は、本年度のものも含めすでに国内に存在しているイワシクジラ製品の流通や消費については触れておらず、

    日本政府としても、これらを規制するものではございません」
    とありますが、これは2018年会議の前年のものの解釈であると私どもは考えておりました。
ですから今だに多くのイワシクジラ肉の在庫があるところから、没収・焼却処分という措置を取られ
ないのであれば、責任ある政府としては、決議の留意としてせめて「在庫確認」を当然されると
考えておりました。

  それを間違いというのであれば、上記のお知らせを見る限り、まったく、今回決議に留意している
 とは私どもには考えられないのです。
また、お示しいただいたB案では、具体的にどのような対応措置
が今回求められているか分かりづらいのではないか、と思いました。
さらには、そのような見解に差し替え
 ることで、どのように調査結果が変わるかも理解できませんでした。
    以上の理由から、大変申し訳ないのですが、今回いただいたご提案に沿うことはできないことを

   ご了承いただきたいと思います。」



<水産庁からのメー>

12月5

  「貴殿の基本的な認識の誤りとして、日本政府がイワシ鯨製品の「没収・焼却処分という措置」を求められたと

   勘違いしていることがあげられます。日本政府が求められているのは持ち込まれたイワシクジラ製品の取扱い

  (treatment)を事務局に報告することであり、「没収・焼却処分という措置」は全く求められていません。

   貴殿は個人的にそのような措置を期待されているのかも知れませんが、「在庫確認」も含め、そのような措置は

   一切求められていません。

         CITES常設委員会における本件についての議論はネットで中継されており、貴殿はもちろんご覧になっていることと思います。
 
        また、水産庁や 外務省のプレスリリースにおいても、日本政府がイワシクジラ製品の取扱いに関する報告を求められたことが
 
        掲載されております。
        したがって、アンケートをする場合でも、事実に基づく説明を付すべきであり、事実と異なる個人的な解釈(期待)で流通業者

        を惑わすのは責任あるNGOの活動とは言えないでしょう。」

という返事が来た。もちろん、在庫の実態という言葉は使われてはいないが、業者に対して誤誘導になるとか、懸念を感じさせるという危惧は、結局会議の内容を業者が把握していないからではないのか、と思われた。

<参考:IKAN返信>

     「お返事が遅くなってすみません。もう一度、会議の議事録を見直し、よくよく考えていました。結果としては、申し訳ないですが立場は
  
       変わりません。
     まず2018年の委員会では、日本が公海から持ち込むことに関してCITES違反かどうかが議論され、違反であるという判断が下されました。
     今年、2019年の常設委員会では違反と判断された肉の流通に関して、問題があるかどうかという議論が行われ、会議の方向としては
 
    流通自体
問題があり、廃棄すべきではないか、という意見も大きかったことが読み取れます。その上で、日本政府が現在流通している

   鯨肉をどのように管理できるかということですから、実際の在庫を確認し、報告するということは手続き上
  当たり前のことではないかと
 
   考えます。
また、今年の会議の結果ついて、取扱業者の方々と議論内容を共有されているのであれば、こちらのハガキの文面での
 
   「誤誘導」という言葉は
当たりませんし、今更、業者の方が懸念を感じられることはないはずだと思います。」

 

しかし、よしんば「既に調査捕獲したイワシクジラ肉は存在しない」と報告するとしても、それは在庫の状況そのものではないのか。会議の内容と結論についてはお互いに異なる見解があるということだ。

じゃあ、何を報告するのだろうか。

 

<水産庁からのメール>


12月20日
  「
まず、同会議において、ワシントン条約事務局から、次の説明が行われています。

   ・「条約上,常設委員会の決定が遡及するとの規定はない」

  つまり、倉澤様が読み取られた「会議の方向としては流通自体問題があり、廃棄すべきではないか」という意見は、否定されています。

  今年の締約国会議における最終的な結論は、「日本に対し,来年開催される常設委員会(時期未定)

  の90日前までに,昨年10月の常設委員会の決定の前に国内に持ち込まれたイワシクジラの標本(鯨肉等)の取扱いについての報告を求め

   る」とする常設委員会議長から提示された決定案が採択されたことです

   決定事項は以上のとおりであり、「廃棄や在庫確認の報告」は求められていません。

   こうした議論や決定を無視して、ご自身の意見である「廃棄や在庫確認の報告」
決定された旨を主張されることは如何かと思います。」

 

こちらとしては、立場が違うとしか言いようがないのだが。

では、往復ハガキでのアンケートがどのようなものであったかをご覧いただこう。



**********************

「イワシクジラ肉製品の取り扱いについてのアンケート」

先般の台風 19 号は各地に思いもかけない大きな被害をもたらしましたが、皆様におかれましてはいかがで
したか?
早速ですが、貴店が取り扱われるイワシクジラ肉/脂身について、皆様のご意見を伺いたく、アンケートを
実施いたします。
ご存知のように、日本鯨類研究所が 2002 年から2018 年まで実施してきた北西太平洋における調査
捕鯨において、捕獲したイワシクジラを持ち込む行為がワシントン条約の違反に当たると条約会議で判断
されました。

また、先頃(2019 年 8 月)に行われた条約の常設会議において、この流通している肉及び加工品も条約
違反であることから没収を求める声が相次ぎ、日本政府は 2020 年の委員会までにその在庫の実態を把握
するよう要請を受けております。

私どもは、皆様がこの問題に対してどのような取り組みをされているか、また今後今後の扱いについて、
ご意見を伺いたいと考えております。

突然のお願いではありますが、よろしく返信ハガキにお書きいただき、お送りくださいますようお願い
します。

<質問>
質問1 イワシクジラ製品を取り扱ったことがある、

または扱っている(Yes/No)
Yes のかた: 回 kg 程度

質問2 ワシントン条約常設委員会での 2018 年と
2019 年の議論について(いずれも知っていた/知ら
なかった 2018/2019 年について知っていた)

質問3 今後、イワシクジラ肉を取り扱う予定があり
ますか?(Yes/No)

(Yes のかた:調査捕鯨で捕獲されたものと EEZ
内のイワシクジラの区別をしますか?できると思い
ますか?)

○ この件に関してご意見があればお書きください。
***********************

こちらの行った在庫確認が僭越だと思われたのかもしれないが、何かを誘導しようという意図ではないのは明らかだ。

「要されている」という言報告では使っていないのは事実だ。しかし、反とされた流通していることをんどの国がったことと認識しており、さらには多くが没収すべということを主張しの用となるが、

  条約事務局は、没収が遡及適用になるか否かは非常に複雑で法的な問題になるとコメントするとともに、

   ナイジェリアから中国への材木の輸出、ペルーから米国へのマホガニーの輸出についてどうであったかと

   いった過去の前例を調べるなど注意深く検討する必要があると発言した。(前述:真田「イワシクジラは何処へ行った」)

結果として長が仲介し、回まで問題が持され、だからこそ報告が必要となったのだ。しかし、今回のことでも日本政府の持する立場が明らかになったわけで、年行われる委員会の行にかかるところだ。

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