ピラン

IWC68は、ポルトルツ(ポルトリュージュ)のベルナルディンホテルで開催されたが、私たちの宿泊したマリン・バイオロジーセンターの入っている国立バイオロジー研究所の住所はピランだ。写真右がベルナルディンで、左がNBI。私たちは、ベルナルディンの宿泊客がビーチに出るための入り口からエレベーターで12階会場まで行けたので、到着までものの数分だった。                                        Img_1618

ピランは、ヨーロッパでの美しい街30選に入るそうだが、スロベニアを代表するとされる音楽家のタルティーニを冠した広場を中心に、やや密集した感じの古くて美しい建物がアドリア海を臨んでいる。そして街を見下ろす高台に、聖ジョージ教会、修道院が城壁に守られて立っている。

会議冒頭でのピラン市長挨拶にもあったように、スラブ系の民族だけでなく、かつてベネチア共和国に属したこともあり、イタリア文化も浸透し、また、イスラム系の文化もあって、さまざまな文化の交差する場所でもあるようだ。

ピランのバスターミナルから、1時間に4、5本の無料バスが出ており、昼休みを利用して、宿泊場所から街のスーパーまでちょっと買い物ということができ、一度は教会まで急な上り坂を登り、頂上からアドリア湾に面する街を見下ろすという贅沢もできた。秋も深まっていく中、気温は暖かく、静かな海で泳いだり、ヨットを楽しんでいる人たちも少なくなく、バスはいつでもほぼ満杯という状態で、中心部には観光する一団や、学生たちの集団もみられた。

通常、IWC会期中にこうした観光ができる機会は少なくて、今回は宿泊施設に感謝しかない。多分、研修施設として設置されている部屋代は格段に安く、向かいが共同キッチン兼ダイニングという、信じられないような好条件で、ほぼ外食なしで安く済ますことができたのも乏しい財布の中身から、また、ターキッシュエアラインの都合で、滞在日数が増えた事情からも、大変ありがたいことだった。

「IWC事務所をスロベニアに移しちゃったら?」という声が聞こえるほど、これまでスロベニアは本会議だけではなく、科学委員会の主催地にもなってきた。科学委員会はブレットという湖のある別の観光地なのだが、次回も科学委員会はそこで行われるようだ。

私たちにとっても3度目の訪問で、それなりにリラックスもできたいい思い出が残る会議だったと感謝している。

 

2022年10月25日 (火)

IWC68を傍聴して

昨夜、スロベニアで開催されたIWC68から帰国した。

私の最後の参加になるだろうと思うが、大きな節目に遭遇できたという手応えを今、感じている。

大きな流れははっきりとこの会議が、小規模な捕鯨管理を含む(まあ、セントビンセント&グレナディンはヤンキー捕鯨で先住民捕鯨とは少し違うのでこういい言い方をあえてするが)コンサーベーション(日本がいう保存や保護ではない)に舵を切ったことが明らかな会議だった。

思いがけない議事妨害(提案採択の可能性に対して、提案内容に不服な捕鯨国が不参加)もあり、「食糧安全保障」やモラトリアム解除提案が出てはいるが、すでに国際社会はクジラを殺さない選択をしていること、現在の捕鯨実施国の実情を見た限りにおいて、捕鯨産業がもはや経済的な進展を望めなくなっているという現実に基づいた当たり前のものだと私は感じている。

この流れは、今回参加した韓国の態度にも明らかである。かつては日本と同様に捕鯨を支持してきた韓国は、今回、クジラ類に有害なプラスチック汚染防止へのIWCの強い関与を示す共同提案国に名を連ね、また、南大西洋クジラサンクチュアリに対しても原則から支持と発言した。韓国のこの方向転換は、今回参加した代表によるところでは、韓国国内の世論がこの10年間に変化したこと、また、最近、(日本も含めて)世界的にヒットしたドラマの影響も少なくないということだ。

日本は、前回会議後にIWCを脱退し、今回は非加盟国としての参加だったが、予想外に多くの人員を派遣し、前にも書いたように、南大西洋サンクチュアリ提案の採決時は会場に捕鯨室長を残して全員退席していた。国内では、捕鯨問題について、捕鯨実施の際と鯨肉販売しかニュースに取り上げられないが、私たちが主張してきているように、供給の減少にかかわらず在庫が減らない状態は変わらないので、メディアのあり方は必ずしも国内での実態を反映したものではないことはいうまでもない。

日本の人たちの、国内政治や社会への半身の構えをいいことに、頑なに世の流れに逆らって捕鯨推進の態度を取るよりも、現実を見ながら、先細りの産業を、単に「いけ、いけ」の掛け声でけしかけるのではなく、今後どのように支えるのか、柔軟に検討すべき時期に差し掛かっているのではないだろうか?

2022年10月22日 (土)

IWC5日目

5日目は、最後の今回提出された報告書等の採択と、役員の選出、次回開催地の決定などが進んだ。

次回の議長はギニア共和国のディアロ代表、副議長はオーストラリアのニック・ゲイル氏。2分化されたIWCで議長は、それぞれの利益を代表する側が交代交代に努め、68まではスロベニア、その前は日本だった。露骨な身内贔屓は出されないが、蓋を開けて見ないとわからない状態で、ちなみに今回までの議長は公平、中立だと両方の側から褒められていた。特に、採決ボイコットに際して、強行しないで、多分、怒りに萌えるブエノス・アイレスグループを宥めた事が評価されたのか。

しかし、議長の会議の成果文書では、採決できなかったことを単に「定足数が満たされなかった」と表現したことから、採択を強く望んだ側からは事実に反すると大きな不満が爆発した。しかし、議長は文書が単なる成果の報告で、詳細経過はのちに出される議長報告で語られるとがんとして動かず。議論が長引き、最終的には多少の文言修正が試みられ、また次回会議ではまず最初に定足数に関しての手続き規則がどのように考えられるのか検討されるということでなんとかおさまった。

多分、サンクチュアリが会議で決定されようがされまいが、提案した沿岸国は粛々と保全を進めるだろうし、また、どっちみちそれはサンクチュアリに強硬に反対するアフリカを主体とする国々にとっては、決まっても、決まらなくても実質的に何も変わらないだろう。要するに、「日本症候群」に感染した捕鯨支持の国々が、象徴としての保全を受け付けないという意思表示なのだから。

しかし、なんとも収まらない気分にさせられるのは、‘提案した国々=豊かな国々、反対する国々=貧困国‘というおかしなレッテルづけだ。なぜなら南米沿岸諸国での経済活動は、だいたい小規模な業者によるホェールウォッチングで、大国の経済活動とは関係ないからだ。それを、捕鯨を将来するつもりもないし、クジラを食べもしない国がめくじら立てるというのは一体なんなんだろう。

関連する提案で食糧安全保障という観点からの捕鯨推進があるが、これも同じように、鯨肉で飢餓を解消しようとすれば、程なくクジラたちはいなくなってしまうだろうし、クジラの海に貢献するさまざまな生態を考えれば、小規模な沿岸漁業者にとって、存在することこそ恩恵と考えてもよさそうなのに。

なんだか母国では時事通信が、この提案が‘否決‘されたとか報道したようだが、飢餓撲滅はIWCを超えるとされながらも、より良い内容で検討しましょうね、とアメリカなどがいって継続討議されており、採決はもちろんされていない。

 

で、次の開催地はペルーだ。

2022年10月21日 (金)

IWC4日目ーまるで無頼の徒

  1. 先に4日目の報告をしたい。

朝一番にコミッショナー会合があり、11時開始ということで会場に着いたが、終わらない様子で、30分くらい待った挙句、さあ、サンクチュアリ成立か、と思った所、日本政府団が坂本室長を残しほとんどいない。と思ったら、なんと、始まりが告げられても、いわゆる持続利用派の国々17カ国が会議をボイコットしているのだ。これまでの経緯から、サンクチュアリ提案がほぼ可決と考えられ、捕鯨の側もそう判断したと思われる。議長としては、この不参加国を棄権したと見なすのではなく、手続き規則上の参加国の定足数の問題と判断、20年間の関係者の努力も、せっかく積み上げた今回の議論も無駄となった。

フロアでは、議長の判断に反対するものもあり、また、定足数解釈について、明確な見方を休会中の会議で確立してIWC69回の冒頭で議論しようという幾つかの提案で進むようだ。

もちろん、こんな脅しが通用するような国際会議への憤懣は限りなく、かつてブラジル政府代表団に所属し、現在はブラジルザトウクジラ研究所のホセが、38年間参加してきたうちで一番の恥だ、これまでに十分議論は尽くされてきているのだから、現在の判断は侮辱以外の何者ではない、という発言に会場から拍手が起きたくらいだ。こうしたやり方が罷り通るならば、今後も負けそうになったら今回のような卑劣な手段を取らないという保証はない。意見を聞く行為もまあ、鬱憤晴らしのようで、ちょっと気分が悪くなった。

日本の役人たちはどこにいるのだろう?こうした恥ずかしい行為の裏で糸を引いているのでなければいいのだが。

2022年10月20日 (木)

IWC2日目

※これを書いているのは4日目なので、みんな南大西洋サンクチュアリを設立できるか固唾を飲んでいる所ですが・・・

 

2日目は、財運の報告と議論。本拠地であるレッドハウス売却問題から始まった。老朽化し、建て替えにもお金がかかるので、引っ越そうという話がだいぶ前から出ており、その話で進んではいるが、まだ買い手が見つからない模様。

2018年以降の財政運営についてと、今後の見通し。

昨日書いたWG-OPで今後のためにいずれの道をとるべきかという3つの選択肢が示されている。

1が支出を減少させて解決する緊縮財政

2は支出を減らすと同時に、参加費等で収入も増やしていくというもの。参加国は2023年に4%、2024年に2%の参加費の増額が提示されている。

3はとにかく収入を増やすというもので2023年には10%増やす。

フロアの議論ではおおむね2の選択肢。しかし、参加費増額に対してはやはりかなり複雑らしく、科学委員会の出費は減らせるのではないか(ノルウェー)とか、更なる小委員会で検討すべき(アメリカ)、勧告は明確な手続き規則によるべき(アンティグア)など、ガバナンスのあり方にはおおむねは合意できるが、細かい詰めまだというところで、木曜日に討議される事になった。

 

次はいよいよ、南大西洋サンクチュアリ。ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイが共同提案し、これまでEUを始め多くの国が賛同してきた提案だ。初めに提案されたのは2001年だったか。粘り強く提案され、フロリアノポリスではここ1番という強い願いで進められたが、叶わなかったものである。なかなか成立しないのはこれが附表修正の課題で、議決には4分の3の賛成票が必要だからだ。

今回もそうだが、反対の多くは「モラトリアムがあるのでクジラは取れないのに、なんでクジラのための保護区が必要か?」というもの。しかし、海洋保護区の必要性はすでにCBDなどの条約で認められており、管理計画等を見れば、取る、取らないの問題だけではないとわかるはずだ。

しかし、中には「貧しい国をさらに貧しく不健康にする」(セントルシア)とか、「鯨に特化するのはWTOに違反する」(アンティグア)ーこれは、国際取引に関係しない話ではとアルゼンチンーとかいう反対派もいて、合意形成は難しいままだ。

ここで特記したいのは、今回の韓国のスタンス。提案の感謝し、原則を理解していること、そして、この提案がIWCが保全機関となることを進めるスタート、という非常に前向きな発言をしてくれたことだ。

韓国はクジラでは捕鯨推進と長らく見なされてきたが、一方で、海洋の保全に関しては真剣に取り組んでいる所だ。COP10で私たちの招聘に応えてくださったリー博士は当時の海洋担当のセクレタリーだ。また2015年には、違法に捕獲され、水族館で飼育されていたイルカを彼らの所属海域に解放したという実績もある。

また、最近、日本でも大変流行したドラマでは、主人公がクジラ保護に燃えており、その影響でさらなるイルカの解放も実現したと聞いている。

こうした世論の後押しで、韓国が本来進めてきた海洋保全の政策が前進することを期待を込めて見ている。

プラスチック汚染問題の提案は、今回のEUを代弁するチェコが提案し、アメリカ、イギリス、韓国、パナマ、インドが賛同国になっている。これについては、国連環境計画(UNEA)でいかに協力して国際的な解決に向かえるか、が議論されており、日本(環境省だが)も決議案を提出するなど積極的に関与を示してきた。様々なスタンスがあれ、大方の国々が問題を認識しており、木曜日には合意が形成されることが期待されている。

次は、食料安全保障問題。ガーナが提案し、ギニア共和国、カンボジア、アンティグア&バーブーダが賛同している。

FAOによる飢餓の消滅に向けての方針に海洋生物及び養殖が必須だとされているので、クジラも資源利用するべきというもの。まあ、一昔前日本はそれを散々吹聴していたし、基本スタンスは「クジラも水産資源」だ。しかし、現在、捕鯨業はほとんどなくなり、沿岸の国々にとっては多分クジラをとるエネルギーがあるなら、小規模漁業者が沿岸で自分たちの取り分を確保するための方策こそ飢餓対策になるはずで、クジラを取ったり食べたりしない国が(アンティグア&バーブーダ代表はこの後の独演会で「自分はクジラ食べないけどね」といっていた)、なんでわざわざクジラ取れるようにしな、と言いたいのか。「飢餓撲滅は重要な課題だけど、IWCが扱う範囲を超えている」というのがもっともな意見で、途上国の権利とか、途上国の現実を知らないとかの意見にアメリカが大人の対応。一緒に提案内容の検討をするという話に進んだ。

最後の提案はなんとモラトリアム解除のための鯨資源保全と管理の推進で、アンティグア&バーブーダの名物代表のデブン・ジョセフ氏の独演会の様相。これまでのIWCにおけるすったもんだから、保全重視に至った現在までを自己流に説明し、皆さんは道を踏み外そうとしている!正気に戻って本来のIWCの目的を全うしまよう。そのための特別委員会を設置しよう、とで何処かのカルトかあ?というような演説。だがこれもオーストラリアが神対応。興味のある国々で、問題整理と検討を行うことになって一件落着。

 

 

IWC68 本会議1日目

10月17日、4年ぶりの対面会議がはじまった。

議長の挨拶の後、お定まりの開催国挨拶があり、スロベニアの外務大臣、環境空閑計画大臣、ピラン市長が英語で挨拶。それぞれが、環境に関連する懸念事項などを話されたが、話題の中で、私たちが宿泊しているマリンバイオロジーセンターが海洋環境保全の拠点だということが出てきてちょっと感動した。

日本ではIWCが破産するとかで盛り上がっているみたいだが、(財政は苦しいのは確かだが)、組織を支えようと思っている人たちの努力も見ていってほしい。

開会の宣言と議事採択が滞りなくおわり、最初に話題となったのは、財運の報告の中での投票権の変更。国際的なコロナの流行と途上国をはじめとする参加国の懐具合などを勘案し、今回に限り、3年間(2019,2020、2021)の滞納国も投票権が与えられることになった。8カ国がそれに相当。

ちなみに18日現在の参加国は54カ国で投票権のない国が6カ国ある。

議長が会議を進める際に、会場発言に際し、参加国、非参加国(日本)、国際組織、そしてNGOといちいち丁寧に聞いている所がいい感じだった。日本は参加国発言の次に、発言の機会が与えられている。

そのあとの科学委員会報告は、とても良くできたパワーポイントプレゼンテーションで行われた。科学委員会は毎年行われるので、その4年間の蓄積を新・旧の議長が説明にあたった。組織の構造や担当する内容から始まり、実際の進み具合や問題点など、私にもすごく理解しやすいものだった。続く保全委員会も、科学委員会ほどではないにしてもなかなか頑張って造られたPPTの発表で、こうした新しい試みは、4年間の中で、いかに良く運営していくかという試行錯誤の結果だと思うが、こうした影の努力への評価があっていいな、と思った。残念ながら、今回は日本だけでなく、メディアが非常に少なく、開催前の朝日の記事が唯一か。

2003年にベルリンで大きな論議の末に生まれた保全委員会だが、世界的なクジラへの視線の変化を受けてその必要性が増し、課題も増え続けているが、一方でなかなかの存在感を持つようになったと実感する。またこの10数年苦労して組織を育ててきたメキシコの代表ロレンツオさんが任期を終えて、副議長のイギリスのキャット・ベルさんが議長に就任し、アルゼンチン代表のミゲル・イグレシアスさんが副議長となった。

1日目最後にはIWCの将来を考えて財政運営委員会の下部組織として2019年に作られたWG-OE(効果的な運営のための作業部会)の報告があり、予算やガバナンスといったIWCの構造的な改革についての考え方が示された。

オブザーバーとして参加の日本政府は水産庁4人(森下海洋大教授含む)、外務省2人、法務省2人という陣容だが、他に鯨研の2人がGGTとして参加している。

 

2022年10月15日 (土)

IWCスロベニア3度

10月11日に日本をたち、12日からIWC参加のためにスロベニアに来てる。本会議のみの予定だったのが、格安だったので購入したトルコ航空の予定の便が欠航、代替して提示されたのが2日前の日程だったので、図らずもいくつかの小委員会に参加できた。

会議場で出会った森下丈二教授には「もう来ないと思っていたのに」とさっそく嫌味らしきことを言われたが、確かに長丁場がこたえて、ついた当日はほとんど死にかけていた。旅はキツかったが、宿泊場所である国立マリンバイオロジーセンターピランは、会議場のホテルベルナルディンの隣という好立地で、長い逗留でもなんとかなるというくらいの宿泊費。紹介してくれたNGOにはとても感謝している。

今回の目的は、日本が脱退したのちに、これまで求めてきた方向性、すなわち‘鯨類の保全と管理‘の組織として機能させるという関係者の熱意をきちんと把握したいと思ったからだ。

確かに、日本が抜け、日本が引っ張り込んだ捕鯨ヨイショの国々の多くが参加費を滞納している状態で、しかも世界的なパンデミックによる経済的苦況が参加する国々に重くのしかかっているなか、運営資金の確保は大変むずかしい。今がまさに正念場という感じがするが、私としてはここでIWCという組織の方向性をきちんと打ち出し、クジラの保全・管理の国際機関としてのステータスを確立してほしいと願っている。

日本は、IWCを漁業機関以外のあり方を認めないが、近年、クジラの持つ生態系に於ける重要性が認識されて保全の努力が一層求められるようになってきた。例えば、湿地や森林保全、国を超えて移動する動物の保全を司る国際条約が存在するのだから、そうしたあり方に大きな違和感はないと思われる。また、参加国の代表の人たちやNGOがそうした熱意を強く持っていることが感じられ、これが単なる夢物語ではないことを日々感じている。

 

2022年9月13日 (火)

ソフトなやり方で・・・

 知り合いが、「韓国で、人気ドラマの影響でイルカが解放されたらしい。」とリンクを送ってくれた。

https://www.youtube.com/watch?v=LINfGgNmsh4

何でも、ドラマの中で主人公が’水族館はクジラの監獄です’というセリフがあって、済州道で水族館飼育されていた最後の1頭のミナミハンドウイルカが解放に向けてリハビリを受けている。韓国では、2015年にも違法に捕獲されたイルカが解放されたという話が確かあったと記憶している。

https://japanese.korea.net/NewsFocus/Society/view?articleId=128106&pageIndex=18

別の知人が、IKA-NET NEWSの感想として、「難し過ぎて一般はついてこられない、漫画にでもしたらどう?」というメールをくれ、少し考えていたところでもあったので、どんなドラマなのか見てみた。主人公は、自閉スペクトラム症の若き弁護士で、幼い頃からクジラが中心という感じで、何かというとクジラにたとえて同僚からうるさがられているが、その彼女に惹かれる調査員がまだイルカをみたことがないという主人公に、うっかりと「水族館には行かないの?」というようなことを言ったため、水族館ではイルカがどれほど苦しむかを彼女が捲し立てるシーンがリンク先にある。

それだけではなく、何か問題に突き当たったりした時、解決のためのインスピレーションでは、ザトウクジラの大ジャンプやイルカたちがジャンプする場面が描かれ、解決した後は、高層ビルに並行してクジラが空中遊泳したりするのだ。子供たちの受験地獄が描かれるところでは、背鰭が折れ曲がったシャチが登場という具合。

IWCでは韓国は数年前まで日本に同調し、捕鯨推進の立場であり、一度は調査捕鯨をやるとか言ってみんなをびっくりさせたこともあった(すぐに撤回したが)。また、蔚山では相変わらず、混獲されたとされるミンククジラ肉が結構の数販売されていたようだが、こうしたドラマに人気が集まるということは、確実に世論が変化しているということだろう。

そういえば、BTSのベガスのコンサートのフィナーレでも、クジラたちの模型が空中遊泳していたし。

日本でリメイクしたいという話もあるそうなので、下手な漫画よりもこちらを頑張ってもらうことにしようと考える怠惰なわたし。

 

2022年9月 9日 (金)

富戸、イルカ猟返上!

 懐かしい方から久々の電話があった。富戸の元イルカ漁師で、今はイルカウォッチング船、光海丸の船長さんの石井泉さんだ。彼は開口一番、「富戸がイルカ猟を返上しましたよ!」と元気にいう。

富戸は、日本国内で2箇所あるイルカ追い込み猟の実施地域の1つだったが、実際は2004年に行われた追い込み以来は、水産庁から捕獲枠は示されてきたものの、捕獲はしてこなかった。ここ1、2年は、毎年8月に行われた「イルカ取るぞ!」宣言もなくなって、実際は断念したようなものだったのだが、やっと「返上」という言葉を明るみに出せることになった。

「あれから26年ですよ。」と石井さんは感慨深げに続ける。これまでのブログで見ていただくとわかるように、「あれから」とは、私たちがイルカ猟に遭遇し、反対する行動を始めた1996年から、26年の年月が過ぎたということだ。長いようで短かったこの26年。

石井さんは、1993年にイルカの捕獲枠が定まったことを幹部から知らされないまま、1996年の捕獲の後のテレビ局の取材に対して「漁師が捕獲した獲物を全て水揚げするのは当たり前」と発言。その後で、捕獲枠のことを知って愕然とし、組合内部で問題をきちんと解決しようとしたのだが、組合内での反発が激しく、一人、村八分ような立場になった。私たちも何とか彼を支援しつつ、イルカ捕獲問題を広めてきたが、国内での支援の輪はそれほど広がらなかった。彼はそれでもめげずに、海外NGOの助けを借りてイルカのウォッチングを開始する。

元々、いまの追い込み猟のかたちは伊豆地方で始まったようだが、そのことが仇になって、70年、80年代にイルカを取り過ぎ、4箇所あったイルカの各地は次々撤退、かろうじて踏みとどまった富戸においても、コンスタントな収入源になったというよりは、たまさかのボーナス程度の経済性でしかなかった。しかし、近隣水族館の要望もあり、肉というよりも生け捕りによる収入は魅力的であったらしく、なかなか引くことにならなかった。

しかし石井さんも黙ってみていたわけではなく、イルカを追い込む湾内への定置網の誘導提案など、イルカの追い込みにく状況作りに努めてきた。定置網を湾内に設置してから10年、そこそこの売り上げも見込まれる状況も生まれ、伊東市漁協の運営ではなく、富戸在住の理事の一人がその定置網漁業を漁協から買いとり、法人組織化を試みた。それまで漁協が唯一の水上げ魚の市場だったものが、これによって販売努力さえすれば、複数の市場でより高く売れるということもあり、定置網業者にとっても、またその維持運営での経費削減を見込まれる伊東市漁協にとっても言ってみればウィンウィンの関係となったようだ。

石井さんは、これからさらに「イルカを平和な海のシンボルに」という運動を加速させるべく張り切っている。

ウォッチング事業の方は、震災や海難事故でなかなか困難な状態ではあるそうだが、イルカのため、海と海に生きる人々のため、ぜひウォッチングを応援して欲しい。

 

 

 

2022年5月17日 (火)

鯨の肉がペットフードに

  プレスリリース

「 鯨肉消費あがらず ペットフードにまで・・・」

 

3年越しで続くコロナ禍による経済の停滞に追い討ちをかけるようにロシアのウクライナ侵攻が私たちの暮らしに影を落としています。そんな最中に、政府はさまざまな問題を含む2022年予算案を閣議決定しました。その中に、今年度も捕鯨に関する予算およそ51億円が組まれていることは非常に残念です。

4年前の20181228日、当時の官房長官、菅義偉氏は日本が国際捕鯨委員会を脱退し、商業捕鯨を開始すると発表しました。そして翌年7月、大型の母船式捕鯨会社1社と沿岸の小型捕鯨業4社が商業捕鯨を開始しました。

しかし、それぞれの企業体の必死の努力に関わらず、減少した鯨肉需要は戻らず、在庫は積み上がり、捕鯨産業はもはや政府の支援なしで自立するのは難しいことが明らかになっていますが、一方で政府は、補助金による捕鯨業支援は打ちきる予定であるとしています。

母船式捕鯨を行う共同船舶は、母船の老朽化のため、新たな船の建造を計画するほかありません。新造船にかかる費用は、一部下関市が持つほか、クラウドファンディングでの調達に期待していますが、現状を考えると捕鯨船としての利用だけでは無理があるように見えます。

こうした現状を打開するため、業者はこれまで学校や医療機関への大幅な値引き販売、飲食店への直販、鯨肉の風味を良くするための加工方法の変更、鯨脂アイスや鯨肉タルタルなど新商品の開発に励んでいますが、生鯨肉の売れ行きが比較的好調なのに比べ、冷凍肉の需要は依然として低く、鯨肉はペットフードに行き着くことにもなったようです。

202111月の日本のペットフード市場の分析では、イワシクジラ、ミンククジラ、ナガスクジラを原料とする61種類の加工品、冷凍品、フリーズドライ品、製品を製造・販売する日本企業が34社あることが判明しました。

50以上の製品が犬を対象としており(生肉、パウチ入り加工肉、乾燥ジャーキー、フレーク、ビスケット、フリーズドライのキューブなど)、さらに10製品が猫またはその両方を対象としていました。また、鯨の脂身を原料としたオメガ3サプリメントも販売されています。

これに対してIKANは「日本は、捕鯨が伝統的な産業だと主張し、商業捕鯨を再開しましたが、ペットフードの利用は明らかに伝統とは言えません。アイスランドやノルウェーにおいても鯨肉の需要は減少し、遠からず商業捕鯨から撤退することが推測できる中、このような無理な利用までして商業捕鯨を継続するのは間違いです。さらに食の変化だけではなく、海洋環境の悪化による様々な影響が国際的な懸念となっている今、商業捕鯨という選択を再考し、これまで注がれてきた努力を海洋環境の健全化に集中し、その実りとしての水産業の発展に切り替えるべきではないでしょうか」と述べています。

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